
先日、神奈川県川崎市幸区の店舗様より、非常灯の交換工事をご依頼いただきました。この記事では、交換前と交換後の写真付きで非常灯の交換目安・サインなどをわかりやすくご紹介します。
はじめに、店舗や施設における非常灯・誘導灯の交換工事は、単なる照明交換ではなく、人命に関わる防災設備の更新となるため、法令遵守と専門的な技術が必要です。
非常灯は、店舗やオフィスビル、賃貸物件などに欠かせない設備です。これは、万が一の電源喪失時に人々が安全に避難できるよう、その設置と機能維持が消防法や建築基準法で厳格に規定されています。
非常灯・誘導灯の「交換目安(寿命)」と「交換サイン」
1. 交換目安(寿命)
非常灯・誘導灯の交換目安は、主に「①器具本体」「②蓄電池(バッテリー)」「⓷ランプ(光源)」の3つに分けられます。
部品 | 交換時期の目安 | 備考 |
①器具本体 | 8年〜10年 | メーカーが推奨する適正交換時期です。内部部品(安定器、電線など)の劣化が進行しています。耐用年限は一般的に12~15年とされています。 |
②蓄電池 | 4年〜6年 | 非常灯の心臓部です。経年により性能が低下し、停電時に規定の点灯時間(30分または60分)を維持できなくなります。 |
③ランプ(光源):蛍光ランプ | 1〜2年(直管)/ 半年〜1年(コンパクト形) | |
⓷ランプ(光源):LED光源 | 6年〜7年 (寿命60,000時間) | モニタ(赤)の点滅でお知らせされることが多いです。 |
2. 交換サイン
店舗のスタッフが日常的に確認できる交換が必要なサインは、主に本体のモニターランプと器具自体の異常で判断します。
A. モニターランプによるサイン(誘導灯・非常灯共通)
器具に搭載されているモニターランプ(赤・緑)の点灯状態は、最も重要な交換サインです。(※機種により表示が異なります)
モニター | 状態 | 意味する交換サイン | 処置 |
充電モニタ(緑)が | 消灯 | 蓄電池の異常・劣化、またはランプ切れ。 | 蓄電池の交換、またはランプの交換。 |
充電モニタ(緑)が | 点滅 | 蓄電池の交換時期(自己点検機能付器具の場合)。 | 蓄電池を交換。 |
ランプモニタ(赤)が | 点灯/点滅 | ランプの寿命、ランプ外れ、割れ。 | ランプを交換。 |
B. 器具自体の異常によるサイン(一般照明器具と共通)
- 非常点灯しない:点検スイッチを押しても非常点灯しない、または規定の時間(30分/60分)点灯しない。
- 変色・変形:器具本体やカバーが熱で変色(黄変)、変形、ひび割れしている。
- 異音・異臭:器具本体から焦げ臭いにおいがする、異常な音がする。
- 不点灯・ちらつき:ランプを交換しても点灯しない、または頻繁にちらつく。
- 表示板の劣化:誘導灯の表示板が汚れたり、変色(黄変)して視認性が低下している。
作業前
現場で拝見したのは、長年ご使用された蛍光灯タイプの非常灯。内蔵バッテリーの寿命が尽きており、これでは停電時に点灯せず、避難経路を照らし出すことができません。法律上の問題だけでなく、お客様と従業員の皆様の安全に関わる重要な問題です。


今回は、お客様の営業に支障が出ないよう、開店前の時間帯に作業を行いました。まず主電源を落として安全を確保し、古い器具をすべて取り外します。そして、新しく設置するのは、省エネで長寿命なLEDタイプの非常灯です。従来の蛍光灯に比べて格段に明るく、いざという時の視認性が大きく向上します。
一般的な交換工事の流れ(作業工程):
1・準備・計画・法令手続き(着工前)
工程 | 概要 | 重要なポイント |
① 現地調査・ヒアリング | 既存器具の種類(型番、光源)、劣化状態、設置場所、数量などを確認。お客様から不具合の状況(モニターの点滅など)をヒアリング。 | 設置されているのが誘導灯か非常用照明器具か、種類を特定します。 |
② 器具選定・見積もり | 調査結果に基づき、交換するLED誘導灯・非常灯を選定。設置基準(照度、非常点灯時間など)を満たすか確認し、お見積もりを作成。 | 既存の設置跡を隠すための「リニューアルプレート」の要否も確認します。 |
③ 消防署への届出 | 誘導灯などの交換は、消防法に基づき所轄の消防署へ届出が必要な場合が多いです。(原則として工事の10日前まで) | 届出は専門知識が必要なため、通常は消防設備士の資格を持つ業者が代行します。 |
④ 日程調整・周知 | 店舗や施設の運営に影響がないよう工事日程を決定。入居者や利用者へ事前に作業案内を配布・掲示し、周知を徹底します。 | 停電作業が必要な場合は、特に周知が重要です。 |
2・本体交換作業(工事当日)
工程 | 概要 | 重要なポイント |
⑤ 安全対策・養生 | 必ずブレーカーを落とし、検電をして電源が遮断されているか確認します。周辺の床や壁をビニールシートなどで養生します。 | 電気工事士の資格を持つ作業員が、感電防止を徹底して行います。 |
⑥ 既設器具の撤去 | 古い器具のカバー、ランプ、本体を分解し、配線を外して撤去します。 | 既存器具の配線や吊りボルトの状態を確認しながら慎重に取り外します。 |
⑦ 新規器具の設置 | 1. 設置跡を隠すためのリニューアルプレートを天井や壁に固定します。2. 新しい誘導灯/非常灯の本体を固定具や吊りボルトに取り付けます。3. 本体内部の端子に電源線を結線します。 | 器具が傾かないよう、水平器を使って正確に取り付けます。 |
⑧ ランプ・表示板の取り付け | ランプ(LEDユニット)や、誘導灯の場合は表示板(パネル)を取り付け、配線コネクタを確実に接続します。 | 蓄電池のコネクタも確実に接続されているか確認します。 |
3・動作確認・完了報告(工事完了後)
工程 | 概要 | 重要なポイント |
⑨ 試験点灯・機能検査 | ブレーカーを戻し、通常点灯を確認します。次に、点検スイッチを操作して非常点灯に切り替え、規定時間(30分または60分)点灯するか確認します。 | 蓄電池の充電不足で30分点灯しない場合は、時間を置いて再確認します。 |
⑩ お客様確認・清掃 | お客様立ち会いのもと、正常に点灯すること、設置に不備がないことを確認していただきます。作業箇所の清掃・片付けを行います。 | 既存器具は適切に産業廃棄物として処分します。 |
⑪ 消防署への完了届出 | 誘導灯の交換が完了した後、速やかに完了報告を消防署に提出します。 | 多くの自治体で4日以内など期限が設けられています。これも業者が代行するのが一般的です。 |
作業後
取り付け後は、一台ずつ点検用のヒモを引いて、正常にバッテリー駆動へ切り替わるか、避難に十分な明るさが確保できているかを最終確認。これで作業完了です。

まとめ
店舗の非常灯や誘導灯は、火災や停電といった緊急時に人命を守る重要な設備です。普段点灯していても、いざという時に機能しないと意味がないため、一般照明器具とは別に、法律に基づいた点検と定期的な交換が必要です。
既設機種: | ARE668018 コイズミ照明 |
交換機種: | NNFB91605C パナソニック |
対応地域(エリア): | 神奈川県川崎市幸区 |
株式会社エヌ・アイ・シー(川崎市幸区電気工事.com)では、店舗様の非常灯・誘導灯はもちろん、ご家庭の電気工事やオフィス、アパートなどの法人様・オーナー様からのご依頼も数多く承っております。非常灯や誘導灯の交換、照明のLED化によるコスト削減、業務用エアコンの設置など、事業所の電気設備に関するお悩みは、まとめてご相談ください。
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